昨年末(2020年12月26日(土))に開催いたしました第6回福井翻訳ミステリー読書会のレポート、アップしようしようと思いつつ3ヶ月も経ってしまいました。
1月の3年ぶりの大雪で調子が狂ったまま2月に入り、その後は年度末の忙しさで・・・って、言い訳ですね、すいません。
その読書会、課題書『世界の終わり、愛の始まり』(コリーン・フーヴァー 著/相山夏奏 訳(二見文庫))にて今回もオンラインで行いました。
ミステリーではなくロマンス小説という事で、課題者として発表した際に意表を突かれたと仰っていた方もいらっしゃいました。
実際、ロマンス小説を課題書にするという事でどうなるか不安はありましたが、読書会自体は本書の翻訳を手掛けられた相山夏奏さん、二見書房の担当編集者様がゲストでご参加下さった事もあり、総勢12名で大変盛り上がりました。
その中で上がった感想や意見について一部をご紹介させていただきます。
・タイトルがいい。最後まで読むとタイトルの意味が分かる。
・再読でも何度も涙。
・ライルとアリッサの兄妹が共謀しているのではと、ミステリな読み方をしてしまった。
・リリーの初恋の相手のアトラスが都合良すぎる存在に見えた。
・YA要素がある。
・(逆に)YA好きは濃厚な描写は大丈夫か心配。
・リリーの行動に納得いかないものがあった。
・ライルがリリーに惹かれた理由が知りたかった。
・ハーレクインぽいものかと思ったけれど、ミステリーっぽかった。
・男性が格好いいのでトキメク。
・手紙の部分が読みやすく、一人称である事で真実味が増していた。
・物語の構成がうまい。
・思わず笑ってしまようなユーモアある場面が好き。
・銃社会である事、マリファナを吸う場面など、アメリカの現実と問題が描かれている。
・リリーが母から受けた一言に思わず涙した。
・ロマンス小説読者と、そうでない読者の感想が違うのが面白い。
・ピンタレストやスクラブ、ワンジーなど、ロマンス小説を読んで初めて知る言葉もあり勉強になった。
・登場人物が成長していく様も読みどころ。
・善と悪の対比が立体的に描かれている。
・常識をひっくり返すのがうまくて、読み手の心をくすぐる。
・不穏なエンディングを迎えるのを願っていた。
などなど、こちらに書ききれない程の色々な感想が上がりましたが、ロマンス小説に慣れてないミステリ部員の参加者は、やはりミステリ的な読み方をしたという方も多かったですね(笑)。
また、ラストについても意見が分かれました。
もっともネタバレせずにそれらの意見を記すのは難しいのが残念なところ。
この辺りは未読の方には是非とも手に取って確かめて欲しいです。
女性だけでなく、男性にも、いえ、男性にこそ読んで欲しいと思える作品ですので、是非ともリリーと共に愛の意味について考えてみて下さい。
その他、主人公のリリーの相手役となる男性について、ヒーローであるライル、そしてリリーの初恋の相手アトラス、その二人のどちらが好みかで参加者の意見が分かれたのも面白かったですね。
ライルについては「金持ち」「格好いい」「ダメ男が好きなので」といった声で票が入る中、「しっかりしよろ」など厳しい意見も受けつつ票数を集めたのはアトラスの方でした。
そして、どちらも好みではないとの身も蓋もない意見も(笑)。
また、ライルの妹アリッサの夫であるマーシャルに一票入ったのが予想外とはいえ、一同思わず納得する場面も(笑)。
ところで今回の読書会で一番盛り上がったと言っても過言では無いのが、リリーがライルのスクラブ姿を見て興奮する場面を受け、参加者の性癖というか、趣味というか、萌えポイントをそれぞれ発表していただく流れになったところでしょうか。
「映画『愛と青春の旅立ち』のリチャード・ギアのような海兵隊の制服姿」、「映画『007』シリーズのダニエル・クレイグのようなスーツ姿」など上がる中、「アメリカの消防士が、イケメンマッチョな姿を見せるカレンダーがいい」とか、「警察官の制服がいい。手錠で捕まえて欲しい」などといった声には爆笑の渦に(笑)。
私も、2~3割は格好良く見えるというスーツにネクタイ姿で次回からは参加しようかなと考えています(笑)。
なにはともあれ本筋とは関係ないところで盛り上がれるのも読書会の一つの楽しみではないでしょうか。
さて、訳者の相山さんは、『秘めた情事の終わるとき』に続いてのコリーン・フーヴァー作品の翻訳となったそうです。
そのフーヴァー作品を翻訳するまではあまりロマンス小説を読んでいなかったとの事ですが、今回『世界の終わり、愛のはじまり』を訳すにあたり、じめっとしないよう気を付けた事や、他のロマンス小説には出てこないようなワードが出てくる事など、翻訳の裏話など色々お聞かせ下さいました。
それから二見書房様から今回の読書会に参加された方の中から希望者には素敵なプレゼントが後日届きました。
それは、本書の中でロマンチックでありながら事件のきっかけともなる重要なアイテムとして登場するBOSTONマグネット。
素敵なマグネットを二見書房様、ありがとうございました!
また、今回の読書会そのものに参加は出来なかったものの、本書の感想やロマンス小説についてのメッセージを送って下さった、Nさん、そしてSさん、ありがとうございました!
ロマンス初心者が多かった参加者にとって色々と勉強にもなり、あらためてロマンス小説の魅力を感じた方も多かったようです。
さて、今回もオンラインでの開催ならでは、訳者の相山さん、担当編集様をはじめ北海道から福岡まで様々な地域から参加していただき、約2時間の読書会の間中、笑い声が絶えない本当に楽しい時間を過ごす事ができた事を、あらためて皆様にお礼を申し上げたいと思います。
そして次回の福井読書会ですが、2021年も春を迎えた事ですし、そろそろ始動したいなと考えております。
まだまだリアルでの開催は難しい状況かも知れませんが、ガチガチの本格ミステリから今回のようなロマンス小説まで幅広く見て課題書を決めていきたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。